直木賞か…

まほろ駅前多田便利軒

まほろ駅前多田便利軒

正直なところ「むかしのはなし」のほうが「小説」としてのレベルは上だと思うし(好き嫌いはあるだろうけど)「まほろ〜」はよくまとまってるけどとっても薄いというか、文字通りの「ライト」ノベルだと思うので受賞にはちょっと複雑な思いです。設定がBLくさいのはもう仕方がないとしてもね…(でも「月魚」よりは抑えてると思う。あれはかなりだだもれてる)
個人的にはBLぽいというよりも、この人の小説には二次創作801小説に通じるものを感じるのですが、本書が一番顕著だと思います。特に何がモデルだとかいうわけじゃなくて、うーん、空気の作り方が801っぽいというか、同人誌を読んでいてふぉーっとこみあげるモエと種類が近いというかー。(単に私と三浦氏の「萌えツボ」が近いというだけの話かもしれません)

(追記)

レリさんのところと頂いたコメントを見ていて思ったんですけど、この人の小説は腐女子が「このジャンル*1でこういう話が読みたい・あったらいいのに」と思うものを一般書で行きすぎない程度に実現しているのかな、と。
でも試みは成功しているのに、対腐女子に大ヒットしないあたりが同族作家の限界なのかな…。結局「私たちのご同類が書いてるしー」という「あーはいはい」感。ていうかそれだったら新書館でよくね?みたいな…(身も蓋もない)
そこが「一般書籍」というフィールドだと、腐女子はノンケ(の男性作家*2)が書いたものに惹かれがちないきものだからなー*3


ぐだぐだ書くよりid:ericocco:20060710コチラの

エッセイの読者ならわかることだけど、作者が書きたいのは「男二人」で、
だから物語自体が何かを訴えかけてくることがない。

がとても端的にすべてを表していると思いました。それだー。私が感じた「二次創作801っぽさ」はそれだー!

*1:「ミステリ」とか「児童書」とか「青春もの」とか

*2:女帝・高村薫の初期中期作品は別格

*3:「狙って書いてる」にしゅるしゅる萎えるのです。男性作家が無自覚に書いた、行き過ぎた「友情」を与えると泣いて喜びます>ふ女子、というか私