「プライベート・ジムナスティックス」

表紙画像あるの2巻だけなのね

プライベート・ジムナスティックス (1) (ディアプラス・コミックス)

プライベート・ジムナスティックス (1) (ディアプラス・コミックス)

プライベート・ジムナスティックス (2) (ディアプラス・コミックス)
プライベート・ジムナスティックス (3) (ディアプラス・コミックス)
こんな漫画を3年以上も知らずにいたなんて…!
と、思いました。でも(BL漫画の読み方がわかってきた)今読めてよかったのかもしれません。まんまと「シュミじゃないんだ」に煽られている状態ですが、これがなかったらもっと読むのが遅れていたと思うので三浦さんには本当に感謝です。
1,2巻でも相当悶えましたが3巻はもう…息をつめすぎてずっと苦しかった…。こんなの月刊で読んでたら私「ジャスト・ソー・サッド」のあと立ち直れなかったよ。あの雪原のシーンは本当につらい…というかせつなすぎて、声もなく涙がぼろぼろこぼれました。甘夏が泣いているというのがなんだか地味にショックで、そこにたたみかけるようなセラの問いかけ(「〜ないよね?」の繰り返し)がどしっ、どしっ、と胸に積み上がる感じがして、しばらく本を閉じて床の上にぐったり倒れながら泣きました。ううう…重い…想いが重いよ……
この人の漫画はネームがすごく特徴的で、いわゆる現代の話し言葉じゃなく、ちょっと詩的な感じというか、すごく丁寧で繊細で音や韻を大切にした台詞回しだったりモノローグだったりするんだけど、それが本当に美しく心に沈んでくる。「……」「――――」をこれだけ多用しているのにモタついた印象はない。むしろその「息継ぎ」をはさむことで「リアルじゃない*1会話(独白)」がすごく自然に感じられるのです。その上で登場人物たちの抱える焦燥や、相手はちっとも悪くない、悪いのは支えきれなかった自分、とか、肉欲に傾けば他の事は考えずにすむとか、少しずつ(望んでいないのに)意識がずれてゆく様とか、ちょっとした描写が真に迫って「リアル」に響くのでした。重いよー…でもすごくいいよー…


私たちが永遠に求めてやまない「唯一無二の・永遠のパートナー」というテーマをとても理想的に描ききった作品です。理想的です。美しい・美しすぎる結末かもしれません。でもそこへ至る2人の足取りや思いを見てきた読者にとってはすんなりと納得し心に馴染む結末です。読めて良かった。すいません、ベタ褒めです。記号的に自分の属性とドンピシャな部分が多々あってゲスいモエもしていたのですが3巻読んじゃったらそんなこと書けるような気分になれなかった…。絵もね、すごく、本当にすごくいいですよ。立木コーチのヒゲはおもしろかったけど。

*1:芝居がかった、とも言いますか