神様に試されているのだ

会社帰りの電車の中で、目の前に座っていた中3くらいの男子二人組。制服はシャツボタンひとつしか開けてなくて、ふたりともわりときちんとしていた。日焼けして真っ黒だった。左の子はちょっと癖毛で髪があっちこっちぴょこぴょこ跳ねていた。で、二人とも文庫本を読んでいるのですよ。わあめずらしい…癖毛が司馬遼太郎、もうひとりは何読んでるのか最後までわからなかった。ふたりとも時々軽口を叩きながらそれでも本を読んでいる。私いい笑顔(お察しください)そのうち片方が自分は本を読みつつ、癖毛の持ってる本の栞紐を手探りで引っぱり出しつんつん引きはじめた。だんだん引っ張られて身体が斜めになっていく癖毛。でもふたりとも読むのはやめない。癖毛は「やめろよ」とか言わない。私いい笑顔。そのうち紐を引っ張っていた手を癖毛がぴちりと押さえて「お前それくらいにしなさい」。くすくす笑いながら一旦はやめるもののそのうちまたつんつんし出す右の子。何も言わないでだんだん斜めっていく癖毛。駅に着いたので電車を降りる私。腐れ脳の神様に試されているのだな…と思いつつ、ここにこうして書いてしまったのでたぶん私の負けです。