冒険絵本PINOCCHIO@渋谷区文化総合センターさくらホール

ドキッアミュ顔だらけの(略)
黒白シリーズ第二弾ということで、徹底的な厨二炸裂ぶりにもう拍手するしかなかった前作のインパクトを引きずりつつ、今回は掲載誌をASUKAからなかよしに変更しましたという風情のファミリーミュージカルテイスト。でもなかよしだからオタク要素はちゃんと強めなの。そういう感じです。
あまり手放し絶賛するのもどうかと思うんだけど、網舞台は意図が明確で、「いけめんをいっぱい出している」ということに甘えず手抜きをせず、しっかりパッケージして出してくれるので安心できますね…。ちゃんと制作側の大人たちの制御が利いている感じというか。数多あるいけめん舞台で、「いけめん出しときゃお前ら嬉しいんでしょ」「こういうことすりゃお前ら喜ぶんでしょ」みたいな手抜きのなんと多いことか…。

うらん先生の演出は、華やかなんだけど奇を衒わずオーソドックスなぶん仕事の丁寧さがわかる感じがします。安心感。場転とか舞台のスペースの使い方とかそつがない。出演者は皆若いけど、いいかげん舞台慣れしてきたのが数名いる…以上に、各自が自分の役割をちゃんとわかっていて、地に足のついた芝居をしている(舞台上に身の置き場がない、浮いちゃってる感じの出演者がいない)なあと思いました。*1褒めすぎでしょうか…でもそういうの全然できてない若手舞台多いんだもの…。
衣装が相変わらずかわいい!丁寧!童話ベースなのでけもみみ天国!やったぜ素直に嬉しい!どーりさんのヤマネコとか見た瞬間「あ!ざ!と!い!!!!」って思ったんだけど、下品にならないところで地味に絶妙なバランスで成立しているよねあの猫スーツは……しっぽでひっぱたかれたい。けもみみしっぽとか女装とか、すごくあざといし一歩間違うとものすごく下品で安っぽくなるんだけど、今回の衣装は全体のバランスが取れていてひとつひとつの仕事も丁寧だと思うので、なんか妙な上品さがあるというか…ファミリーミュージカルの印象が強いというか…(それでいて個々はちゃんとあざといしファンには嬉しく受け止められる感じなんだよなあ。うまいなあ)
黒白に比べるとセンセーショナルさというかストーリ的な派手さはないし、かなり噛み砕いたお話*2なので大人には退屈かもしれない。ある意味、お金のかかった学芸会*3みたいな印象かもしれない。けど、この丁寧に若い役者を愛し育てようという姿勢は大事だと思うの…。毎度毎度「掃いて捨てるほどいる若手俳優をどう生かしていくのか」「地上波出演できる意味」「舞台で生きていくこととは…」みたいなことを考えてしまって、テレビに出れない役者って負け組なの?とか考えちゃうんだけど、でもさあ…!丁寧な舞台を観れたときって喜びたいじゃん。素直に。


たっくんの堂に入ったオカマ役*4、久しぶりに見た水田がダンスめっちゃ上達してて!芝居もすっかりこなれて!笑顔同封で!ゼペット柳澤コオロギ平間のもう何も心配いらない安定感!…あたりのよく知ってる面々を楽しむも良し(私どーりさんのお芝居に対する印象がちょっと変わったわ…特に台詞のはき方が随分変わったような気がする。いい方向に)、新たに加わったプレステージの面々をチェックするも良し(個人的には海賊のキャプテンが好きだな!)、網舞台は俺を裏切らない…という気持ち。

*1:うらんさん自体は役者に対してわりと特殊な演出の仕方をする…というか世界観がかなり独特なんだな、というのは今回のパンフの出演者コメントを読むと伝わってきます

*2:気弱で級友のパシリで意思の無い主人公が絵本の世界で成長していく話。最後は自己犠牲もある。ざっくり。

*3:演技レベルが学芸会と言いたいのではないです!!

*4:どうでもいいことですけど私の愛する女子アイドル夏焼雅ちゃんに似ていた…あ…顎のせいだけじゃないだろあれ……